【開業・医療法人専門税理士解説】医療法人資本金・基金と必要額
この記事の監修者
中込政博
税理士法人シーガル
代表社員 税理士・公認会計士
あずさ監査法人・辻本郷税理士法人を経て、医療専門の税理士法人シーガルを設立。
税金に関する相談はもちろんのこと、公認会計士ですので、医業経営についてもぜひご相談ください!
遠藤大樹
税理士法人シーガル
代表社員 税理士
医療特化会計事務所・税理士法人山田&パートナーズを経て、医療専門の税理士法人シーガルを設立。
医師・歯科医師に対する税務顧問の他、相続税申告や相続対策・医業承継も対応できます!
茅ヶ崎駅から徒歩4分の個人開業医・医療法人専門の税理士法人シーガルです。
医療法人を設立しようとしている医師や歯科医師の方で、資本金や基金についてよく分からない方が多いのではないでしょうか。
医療法人は一般的な株式会社と異なる点があり、理解が難しいです。
そこで今回は、医療法人の資本金・基金とは、医療法人の設立に基金がいくら必要か、これから医療法人を設立する際の基金の金額について解説していきます。
この記事は次の方にオススメです。
・医療法人設立しようと思っているが資本金と基金の違いが分からない方
・基金をいくらにすればよいのか分からない方
医療法人の資本金・基金とは
医療法人の資本金とは
医療法人の資本金とは、医療法人を設立した際に出資した金額のことをいいます。
2007年4月以前まで設立可能であった持ち分あり医療法人は、金銭その他の資産(不動産や医療機器など)の「出資」によって設立することができました。
持ち分あり医療法人の場合には、医療法人を畳むときに、出資した金額の割合に応じて、医療法人に残った財産の返還を受けることができるのが特徴です。
医療法人の基金とは
医療法人の基金とは、医療法人を設立した際に基金拠出した金額のことをいいます。
持ち分なし医療法人は、金銭その他の資産(不動産や医療機器など)の「基金拠出」によって設立することができます。
持ち分あり医療法人と異なり、持ち分なし医療法人は医療法人を畳むときに、基金拠出した金額分のみ医療法人に残った財産の返還を受けることができるのが特徴です。
退社時に医療法人に1億円の現金が残っていた場合にいくら返還されるか考えてみましょう。
持ち分あり医療法人は1人が1,000万円を出資(持分割合100%)しているとすると、退社時に医療法人から1億円の財産が全額返還されます。
しかしながら、持ち分なし医療法人(基金拠出型)は1人が1,000万円を基金拠出していたとしても、退社時には1,000万円までしか返還されません。
医療法人の種類ごとの違いは「【税理士がわかりやすく解説!】医療法人社団とは?医療法人財団との違いは?」にて解説しておりますので、ご興味がありましたら、ご確認ください。
医療法人の設立時にいくら必要か
医療法人の設立時に必要となる資本金・基金は、以下の計算式で計算可能です。
したがって、運転資金の2ヶ月分が400万円、個人から引き継ぎ医療機器・不動産が2,000万円、個人から引き継ぐ設備資金借入金が1,800万円の場合の資本金・基金の額は600万円となります。
運転資金の2ヶ月分が必要といわれている理由としては、保険診療をメインとしている場合、診療を行ってから保険診療支払基金から入金されるまでに2ヶ月必要であるためです。
これから医療法人を設立する場合、基金の額は小さいほうが良い
おさらいをすると、医療法人の資本金は2007年4月以前に設立された持ち分あり医療法人、基金は2007年4月以降に設立された持ち分あり医療法人です。
これから医療法人を設立する方は、資金的な余裕を持つためにも基金の額が大きい方がいいと考えている方もいるのではないでしょうか?
もちろん、その考えも誤りではないです。
ただ、税金のことを考えた場合、基金のほうが少ないほうがよい理由が2つあります。
交際費として経費に入れられる額が多くなるから
基金の額が多いと将来的に経費にできる交際費が少なくなるので、基金の額は小さくできればできるだけ良いです。
交際費の考え方を整理します。
まず、個人開業医の場合には事業に関連すると説明できる交際費は全額経費になります。
ところが、基金を採用する医療法人の場合にはそうではありません。
以下の計算式で計算した結果が、1億円未満であれば年800万円までの交際費は経費として認められますが、1億円以上であれば一部を除き交際費として認められず、経費として認められる交際費が大幅に減少してしまいます。
(期末総資産簿価-期末総負債簿価-当期利益(または+当期欠損金))×60%
→つまり、期末純資産価額が166,666,667円になると1億円以上に該当
純資産価額には、医療法人を設立した後に積み重ねた利益(利益剰余金)のほか、基金も含まれます。
そのため、交際費の経費メリットを考えると最大限、基金が小さいほうが良いのです。
相続財産になる額が少なくなるから
基金拠出型医療法人の基金については、基金として拠出した金額分は医療法人から返還を受けることができます。
簡単にいうと、医療法人に対してお金を貸しているような形です。
そのため、基金を拠出した人がなくなった場合には、基金自体が相続財産に含まれてしまい、相続税がかかってきます。
相続税は相続財産が多ければ多いほど税率が上昇していき、最大55%もの税率がかかっていきます。
医師や歯科医師の方は他の財産も多くなる傾向があるため、少しでも相続税を減らすことを考えると基金は少ないほうが良いのです。
医療法人の基金を少なくするには
2ヶ月分の運転資金が必要ないと説明できるようにする
「医療法人の設立時にいくら必要か」でも保険診療をメインとしている場合、診療を行ってから保険診療支払基金から入金されるまでに2ヶ月必要であるため、基金には運転資金の2ヶ月分が必要と説明いたしました。
裏を返すと、自費診療をメインとしている場合には診療収入を現金で受け取ることが可能ですので、そのように説明できれば2ヶ月分の運転資金は必要ないとして、基金の金額を小さくすることが可能です。
従業員を極力雇わず、医療機器も最低限にし運転資金自体を減らす
勤務するのは医師である理事長1人と看護師1人の2名で最低限必要な医療機器だけで運営を行えれば、一般的な医院よりも運転資金が減少します。
そうすると、2ヶ月分の運転資金を計算してもそこまで大きな金額になりませんので基金の額も少なくすることが可能です。
まとめ
税金のことを考えると、基金は少なければ少ないほどよいです。
これから医療法人を設立される方は、最大限基金が少なくなるように考えることをオススメします。
現在の顧問税理士に基金に関する相談をしても具体的な回答を貰えない場合、医療に強い税理士に相談することを検討してみてください。
私たち、医療専門の税理士法人シーガルは医療法人設立サポートも得意としております。
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