【医師・歯科医師専門税理士が解説】開業医の平均年収とメリット・デメリット
この記事の監修者
中込政博
税理士法人シーガル
代表社員 税理士・公認会計士
あずさ監査法人・辻本郷税理士法人を経て、医療専門の税理士法人シーガルを設立。
税金に関する相談はもちろんのこと、公認会計士ですので、医業経営についてもぜひご相談ください!
遠藤大樹
税理士法人シーガル
代表社員 税理士
医療特化会計事務所・税理士法人山田&パートナーズを経て、医療専門の税理士法人シーガルを設立。
医師・歯科医師に対する税務顧問の他、相続税申告や相続対策・医業承継も対応できます!
茅ヶ崎駅から徒歩4分の個人開業医・医療法人専門の税理士法人シーガルです。
開業医として診療所(クリニック)を運営することで、年収が大きく上がるというイメージを持っていられる方が多いと思います。
では、開業するとどれくらいの年収が見込めるのでしょうか?
そこで今回は、診療科目別の平均年収、開業医のメリット・デメリット、失敗しないためのポイントを解説していきます。
この記事は次の方にオススメです。
・開業医の平均年収を知りたい方
・開業医のメリット・デメリット、失敗しないためのポイントを知りたい方
開業医とは
開業医には明確な定義はありませんが、一般的には自ら診療所や病院を営んでいる医師や歯科医師を指します。
開業医といっても、医師なのかそれとも歯科医師なのか、個人事業主なのかそれとも医療法人なのか、診療所(クリニック)なのかそれとも病院なのか、診療科目は何かなど、多種多様です。
開業している人数
医師の場合
令和2年に厚生労働省が実施した「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると日本の医師の人数は339,623人、うち病院(医育機関附属の病院を除く)の開設者又は法人の代表者は5,142人、診療所の開設者又は法人の代表者は72,586人であることから、医師の開業医の人数は77,728人となり医師全体の4人に1人が開業医ということになります。
歯科医師の場合
日本の歯科医師の人数は107,443人、うち病院(医育機関附属の病院を除く)の開設者又は法人の代表者は19人、診療所の開設者又は法人の代表者は58,867人であることから、歯科医師の開業医の人数は58,886人となり歯科医師全体の2人に1人が開業医ということになります。
こうしてみると開業医として独立する医師や歯科医師の割合も少なくないことから、開業することに興味を持つ方も多いのではないでしょうか。
厚生労働省 令和2年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況
開業医の平均年収
医師の場合
令和5年に厚生労働省が実施した「医療経済実態調査」によると、個人事業主として診療所を経営している医師の開業医の平均年収は3,190万円です。
診療科目ごとでは内科が2,942万円、小児科4,458万円、精神科2,184万円、外科3,1745万円、整形外科2,836万円、産婦人科4,898万円、眼科3,404万円、耳鼻咽喉科3,115万円、皮膚科2,804万円となっています。
勤務医の医師の平均年収が1,500万円と一般的に言われているため、医師の場合には勤務医よりも開業医のほうが2倍平均年収が高いことがわかります。
歯科医師の場合
個人事業主として診療所を経営している歯科医師の開業医の平均年収は1,238万円です。
勤務医の歯科医師の平均年収が800万円と一般的に言われていますが、歯科医師の場合には勤務医よりも開業医のほうが1.5倍平均年収が高いことがわかります。
厚生労働省 第24回医療経済実態調査
開業医のメリット
開業医のメリットは以下の3つです。
- 年収が大きく増える可能性がある
- 自分が理想とする治療や働き方ができる
- 経費を有効活用して可処分所得を増やせる
メリットその1.年収が大きく増える可能性がある
「開業医の平均年収」でも記載したように、開業医になると平均年収が1.5倍から場合によっては3倍になる可能性があります。
これはあくまでも平均値であり、これまでに年収1億円を稼ぐ医師や歯科医師の方を実際に見てきました。
年収を大きく増やしたい場合には、開業医になることをオススメします。
メリットその2.自分が理想とする治療や働き方ができる
以前までは、年収を大きく増やすために開業医になる方が多かったですが、最近では自分が理想とする治療や働き方のために開業医になる方が多い印象です。
開業医は自分で医療設備を選定し治療方針を決めることができるため、自分が理想とする治療を行うことができます。
また、勤務医の場合には当直や日直などによって勤務時間が様々であることが多いですが、開業医の場合には診療時間・開院日も自由に決められますので、プライベートを大事にしながら働くことができます。
自由度を増やしたい場合には、開業医になることをオススメします。
メリットその3.経費や税制を有効活用して可処分所得を増やすことができる
開業医の場合には、経費を有効活用して可処分所得(手残りとして実際に使えるお金)を増やすことができます。
例えば、診療所に通勤するための車を持っている場合には、勤務医では経費にすることができませんが、開業医の場合には減価償却費という経費が認められますので、経費分だけ税金を減らすことができ、手残りのお金が増えるのです。
他には、診療のために必要な勉強会代や患者を紹介してくださった方に対するお歳暮やお中元なども経費として認められます。
そのため、勤務医と開業医は平均年収でいうと1.5倍から3倍の差がありますが、開業医で使える経費や税制も含めて可処分所得で考えると、それ以上に差が広がります。
可処分所得を増やしたい場合には、開業医になることをオススメします。
開業医のための節税方法の詳細については以下にまとめておりますので、ご確認ください。
開業医のデメリット
開業医のデリットは以下の3つです。
- 年収が安定せず赤字になる可能性がある
- 医師の本業以外の業務もしなければならない
- 経営者としての資金負担が発生する
デメリットその1.年収が安定せず赤字になる可能性がある
開業医になると平均年収が上がる可能性がある一方で、年収が下がり赤字になる可能性もあります。
開業当初はもちろんのこと、2年に1回の診療報酬改定の影響を大きく受け経営が上手く回らないときもあると想定しておいておくことが大事です。
勤務医としての今の年収のままで良いという方は、勤務医を続けることも考えてみてください。
デメリットその2.医師の本業以外の業務もしなければならない
開業医になると、患者対応以外にもやることが沢山でてきます。
従業員同士がトラブルになった場合には仲裁に入ったり、患者からクレームを受けたら矢面に立ったり、集患や増患のためのマーケティング施策を考えたりしなければなりません。
従業員同士の問題についてはいつまでたっても消えない悩みであり、開業後20年以上経っている方から相談を受けることがあります。
目の前の患者対応を一生懸命やりたいという方は、勤務医を続けることも考えてみてください。
デメリットその3.経営者としての資金負担が発生する
開業医になると、経費を有効活用して可処分所得が増える一方で、経営者としての資金負担が発生します。
開業時には開業のための設備資金や運転資金の借金が必要になったり、もし赤字になった場合には従業員の給料を支払うために自分のお金で補填する可能性まで出てきます。
借金を背負わず、一定のモチベーションで医師として働きたい方は、勤務医を続けることも考えてみてください。
失敗しないためのポイント
開業したものの、事業が軌道に乗らず失敗する医師・歯科医師も見かけるようになりましたが、以下の2つを謝らければ失敗しないと考えています。
- 立地が9割ということを理解する
- 余裕をもって借入を行う
ポイントその1.立地が9割ということを理解する
どの事業でもそうですが、事業が成功するか失敗するかを決めるのは「立地が9割」です。
開業医の場合には、以下のポイントを抑えて自分自身が納得できる開業場所を決めましょう。
- 競合医院の数
- 交通機関の利便性
- 駐車場の広さ、台数
- 近隣薬局の有無
極端な話、他の医院よりも自分のクリニックが最寄り駅に最も近ければ、それだけで患者数は増えていきます。
ポイントその2.余裕をもって借入を行う
事業が軌道に乗るのが遅くなったとしても、お金があれば何とかなりますので、開業時には余裕をもった借入をしてください。
「借入は借金なので少ないに越したことがない」と考える方も多いですが、事業をする上では「借りれるときに借りれるだけ借りる」というのが鉄則です。
多く借りすぎて必要無いのであれば、手を付けなければ良いだけです。
また事業用資金であれば支払う利息についても経費になりますので、税金も減ります。
開業時に余裕をもった借入をせずに、数ヶ月後、資金繰りに困ったときに「事業が軌道に乗らないので、貸して下さい!」と金融機関にお願いしても、金融機関側は「返済の目処がないのに貸すことができない」と考えますので大した額を借りることができません。
まとめ
開業医は平均年収は高いですが、それは経営者としてのリスクがあるからです。
開業医になった場合のメリット・デメリットを比較して、よく考えていただくことをオススメします。
もし開業を検討しているのであれば、ぜひ医師・歯科医師専門特化の税理士法人シーガルにご相談ください。
私たちは開業のみならず、その後の税務顧問、医療法人化、相続対策、事業(医業)承継対策も対応可能です。
医療専門の税理士法人シーガルでは
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