2026.8.5
病院の経理担当者が突然退職したら?クラウド会計で立て直す方法
「経理を一人で任せていた職員から、突然退職の申し出があった」
「引継ぎ期間がほとんどなく、前任者しか会計処理の方法を把握していない」
「日々の入力は何とか続けられても、月次決算や理事会に出す数字を作れる人がいない」
病院規模の医療法人では、このような事態が起きると、単に会計入力の担当者が不足するだけでは済みません。
月次決算が遅れ、病院全体の収支、部門別損益、医業未収金、資金繰りなど、理事長や事務長が経営判断に使う数字まで見えなくなることがあります。
しかし、急いで後任者を採用し、前任者の仕事をそのまま引き継がせるだけでは、根本的な解決にはなりません。
経理担当者の退職をきっかけに、それまで見えにくかった経理の属人化が表面化したと考える必要があります。
大切なのは、目の前の会計処理を復旧すると同時に、担当者が交代しても月次決算と経営に必要な数字が止まらない体制へ作り直すことです。
この記事では、給与計算などの労務業務ではなく、病院の会計処理、月次決算、経営判断に使う数字に焦点を当て、引継ぎが不十分な状態から経理体制を立て直す方法を解説します。
経理担当者の退職によって月次決算の継続に不安がある場合は、税理士法人シーガルの代表税理士が、現在の会計データ、最後に締められた月、未処理事項、院内と税理士の役割分担を確認し、月次決算を再開するために何から着手すべきかを整理します。
また、税理士変更を検討している場合でも、現在の顧問税理士を先に解約する必要はありません。税理士法人シーガルでは、現在の税理士との契約を継続したまま、病院会計に詳しい代表税理士の対応や相性を60日間無料で確認できる「ゆるやかな税理士変更プラン」をご用意しています。
実際の相談対応を確認したうえで、現在の税理士との契約を継続するか、シーガルへの変更を検討するかをお選びいただけます。期間終了後に自動で顧問契約へ切り替わることもありません。

- 病院の経理担当者が退職すると、何が止まるのか
- 月次決算が止まり、足元の収支が分からなくなる
- 資金繰りの見通しが立てにくくなる
- 理事会や金融機関へ説明する数字を作れなくなる
- 一人で完結していた処理の確認が難しくなる
- 退職が分かった直後に確認したい会計資料と権限
- 引継ぎ資料がなくても、会計データから経理業務を復旧する
- 1.最後に正しく締められた月を特定する
- 2.貸借対照表の残高から確認する
- 3.過去の総勘定元帳から毎月の処理を洗い出す
- 4.未処理事項を一覧にする
- 5.すべての不明点が解決するまで月次決算を止めない
- 前任者の仕事を、そのまま後任者へ引き継がない
- クラウド会計で変えるべきなのは「入力方法」だけではない
- 税理士法人シーガルが支援できる経理体制の立て直し
- 現在の会計データと処理状況の確認
- 主要な残高と未処理事項の整理
- クラウド会計への移行と運用設計
- 月次決算を継続するための役割分担
- 月次試算表を経営判断に使える資料へ戻す
- 医療法人・個人開業医専門だからこそ、遠方の病院規模の医療法人にも対応する
- 月次決算は3段階に分けて立て直す
- 第1段階:会計データと主要残高を復旧する
- 第2段階:月次損益を継続して作れるようにする
- 第3段階:経営判断に使える数字へ戻す
- 経理担当者の退職時に、現在の税理士へ確認したいこと
- 顧問税理士の見直しを検討した方がよいケース
- 退職直後に、現在の税理士まで急いで解約しない
- よくある質問
- 引継ぎ資料がほとんどなくても、経理業務は復旧できますか?
- 退職を機に、すぐクラウド会計へ変更した方がよいですか?
- クラウド会計を導入すれば、属人化は解消できますか?
- 後任者が決まるまで、経理業務をすべて税理士へ任せられますか?
- 経理業務の復旧には、どのくらいの期間がかかりますか?
- 茅ヶ崎市から離れた病院でも依頼できますか?
- 現在の税理士を変更すべきか、どのように判断すればよいですか?
- 60日間の無料期間中に、残高復旧やクラウド会計の導入も依頼できますか?
- まとめ
- 経理担当者退職後の立て直しについて相談する
病院の経理担当者が退職すると、何が止まるのか
経理担当者が突然退職したとき、最初に目につくのは、会計ソフトへの入力や資料整理の遅れです。
しかし、病院経営への影響はそれだけではありません。

月次決算が止まり、足元の収支が分からなくなる
病院の月次決算では、会計ソフトへ仕訳を入力するだけでなく、さまざまな資料を集めて残高を確認する必要があります。
医事システムのデータと医業収入・医業未収金の照合
医薬品費、診療材料費、委託費などの買掛金・未払金の確認
預金残高と帳簿残高の照合
借入金の元本返済と支払利息の区分
医療機器、建物附属設備などの固定資産の処理
部門別損益や予算実績を作るための配賦・集計
これらの処理方法が前任者の記憶や独自のExcelだけに残っていると、後任者はどこから手を付ければよいか分かりません。
その結果、試算表の作成が遅れるだけでなく、病床稼働率や患者数に変化があったとき、それが収支にどのような影響を与えているのか確認できなくなります。
資金繰りの見通しが立てにくくなる
病院では、医業収入の入金だけでなく、医薬品・診療材料の購入、委託費、借入返済、医療機器の更新、大規模修繕など、多額の資金移動があります。
会計処理が滞り、医業未収金や未払金の残高が正しく分からなくなると、現在の預金残高は確認できても、数か月先にどれだけ資金が残るのか判断しにくくなります。
利益が出ていることと、資金が足りることは同じではありません。
経理担当者の退職によって月次決算が止まると、設備投資や借入返済を含めた資金繰りの確認も遅れます。
理事会や金融機関へ説明する数字を作れなくなる
病院規模の医療法人では、理事会や経営会議、金融機関との面談などで、毎月の収支や資金繰りを説明する場面があります。
ところが、月次試算表を作る手順や経営資料への加工方法が一人の担当者に集中していると、その担当者が退職しただけで資料作成まで止まります。
前年同月や予算との差額が分からなければ、理事長や事務長も、どの費用が増えたのか、どの部門の収支が悪化したのか、いつ対策を打つべきか判断できません。
一人で完結していた処理の確認が難しくなる
一人の担当者が、資料の回収、会計入力、残高照合、月次資料の作成まで行っている場合、処理の途中経過をほかの職員が把握できていないことがあります。
この状態では、退職後に未処理の資料や誤った仕訳が見つかっても、それが単なる作業途中なのか、処理漏れなのか判断できません。
経理の属人化は、業務停止のリスクだけでなく、誤りや異常を発見しにくい内部管理上のリスクでもあります。
退職が分かった直後に確認したい会計資料と権限
経理担当者の退職が分かったときは、すぐに新しい会計ソフトへ変更するのではなく、まず現在の処理状況と必要なデータを確保します。
優先して確認したい項目は、次のとおりです。
確認項目 | 主な確認内容 |
|---|---|
会計ソフト | 管理者、利用者ID、保存場所、最新の入力月、未確定仕訳の有無 |
試算表・総勘定元帳 | 最後に月次決算を締めた月、主要科目の残高、前年との継続性 |
預金・カード明細 | 会計ソフトへの反映状況、未処理明細、帳簿残高との差額 |
医業収入・医業未収金 | 医事システムの集計、レセプト請求額、入金・返戻・査定の確認方法 |
買掛金・未払金 | 請求書の保管場所、未着請求の管理方法、毎月の計上ルール |
固定資産 | 固定資産台帳、新規取得・除却、補助金、リース契約の資料 |
借入金 | 返済予定表、元本・利息の処理、金融機関ごとの残高 |
部門別・予算管理 | 部門コード、配賦基準、予算データ、経営資料の作成方法 |
月次業務の予定 | 資料の締切、確認者、税理士へ共有する日、月次報告日 |
すべてを一度に整理できない場合は、「最後に正しく締められた月はいつか」「現在の残高はいくらか」「今月分のどこまで処理済みか」の3点から確認します。
また、退職者が使用していたIDやパスワードを、そのまま後任者へ渡す運用は避けるべきです。
退職者の権限を停止し、法人が管理する管理者アカウントから後任者用のIDを発行します。
会計データだけでなく、誰が、いつ、どの処理を行ったか確認できる状態を残すことが重要です。

引継ぎ資料がなくても、会計データから経理業務を復旧する
十分な引継ぎを受けられなかったとしても、過去の会計データと外部資料が残っていれば、経理業務を一定程度まで復旧できる可能性があります。
1.最後に正しく締められた月を特定する
まず、前任者が最後に月次決算を完了した月を確認します。
試算表が作成されていても、預金残高や医業未収金、未払金が合っているとは限りません。
総勘定元帳、残高試算表、預金明細、医事システムの集計、請求書管理表などを照合し、どの月まで信頼できるのかを見極めます。
復旧の起点となる月を曖昧にしたまま、新しい月の入力だけを進めると、過去からの差額を引き継いでしまいます。
2.貸借対照表の残高から確認する
引継ぎがない場合は、損益計算書の科目を細かく分析する前に、外部資料と照合しやすい貸借対照表の残高から確認すると整理しやすくなります。
現預金は、金融機関の残高と一致しているか
医業未収金は、レセプト請求額や患者負担分の管理資料と整合しているか
買掛金・未払金は、請求書や支払予定表と整合しているか
借入金は、金融機関の返済予定表と一致しているか
固定資産は、固定資産台帳や現物と一致しているか
仮払金、仮受金、立替金などに長期間残っている金額はないか
貸借対照表の残高が整理されると、どの取引が未処理なのか、どこに過去からの差額が残っているのかを把握しやすくなります。
3.過去の総勘定元帳から毎月の処理を洗い出す
前任者の手順書がなくても、過去1年分程度の総勘定元帳を確認すると、毎月繰り返している仕訳や決算整理を把握できます。
たとえば、次のような処理です。
毎月同額で計上している保守費、賃借料、委託費
借入金の元本返済と支払利息
前払費用や未払費用の振替
減価償却費の月次計上
医業未収金の計上と入金時の消込み
診療科、病棟、施設などへの部門配賦
賞与や法定福利費などの月次計上
補助金や助成金の会計処理
ただし、過去と同じ仕訳があるからといって、その処理が現在も正しいとは限りません。
契約変更、診療報酬改定、病床機能の変更、設備の取得・除却なども確認しながら、継続する処理と見直す処理を分けます。
4.未処理事項を一覧にする
復旧作業では、すぐに結論が出ない項目を無理に処理するより、未確認事項として一覧にすることも重要です。
未処理事項 | 金額 | 発生月 | 確認資料 | 確認担当 | 対応期限 |
|---|---|---|---|---|---|
医業未収金の差額 | - | - | 医事システム・入金明細 | 医事課・経理 | - |
未着請求 | - | - | 契約書・納品資料 | 各部門・経理 | - |
固定資産の取得 | - | - | 稟議書・請求書 | 施設担当・経理 | - |
長期滞留している仮払金 | - | - | 元帳・領収書 | 経理・税理士 | - |
未処理事項を見える化すれば、後任者、事務長、税理士が同じ認識で確認を進められます。
金額が確定していない項目についても、確認担当者と期限だけは決めておくことが重要です。
5.すべての不明点が解決するまで月次決算を止めない
過去からの不明残高がある場合でも、すべての調査が完了するまで新しい月の処理を止める必要はありません。
処理済みの項目、概算計上した項目、引き続き調査する項目を区分し、当月分の会計処理と過去分の復旧を並行して進めます。
ただし、不明な差額を理由のない雑収入や雑損失で処理し、帳簿上だけ残高を合わせるべきではありません。
差額の内容、発生時期、確認した資料、最終的な処理方針を記録し、後から検証できる状態を残します。

前任者の仕事を、そのまま後任者へ引き継がない
経理担当者が退職すると、「同じ経験を持つ人を早く採用しなければ」と考えがちです。
しかし、前任者と同じ仕事を一人の後任者へ集めれば、数年後に同じ問題が起きる可能性があります。
退職を機に、経理業務を次の4つに分けて整理します。
区分 | 病院での具体例 |
|---|---|
病院内に残す | 取引内容の確認、資料の回収、支出の承認、医事データの確認、部門情報の共有 |
クラウドで効率化する | 銀行・カード明細の取得、定型仕訳、証憑保存、処理状況の共有 |
税理士と共有する | 勘定科目・処理ルール、月次残高の確認、決算整理、税務判断、収支・資金繰りの確認 |
廃止・統合する | 同じ数字の二重入力、担当者独自のExcel、目的不明の集計、個人のパソコンだけにある資料 |
取引の内容や医療現場の状況は、病院内でなければ判断できません。
一方、会計処理のルール、月次残高の検証、税務上の判断まで、一人の院内担当者だけに集中させる必要はありません。
病院内でしかできない業務を残し、それ以外を自動化または税理士との共有へ移すことが、後任者の負担と再び属人化するリスクを減らします。

クラウド会計で変えるべきなのは「入力方法」だけではない
クラウド会計のメリットとして、銀行やクレジットカードの明細連携、自動仕訳、証憑のデータ保存などが挙げられます。
しかし、経理担当者の退職対策という観点では、手入力を減らすこと以上に、病院と税理士が同じ会計データを継続的に確認できることが重要です。
従来の属人化した運用 | クラウド会計を活用した運用 |
|---|---|
会計データが担当者のパソコンにある | 権限を持つ複数人が同じデータを確認できる |
銀行・カード明細を手入力する | 取得した明細をもとに仕訳候補を作れる |
証憑と仕訳が別々に保管されている | 仕訳から証憑を確認できる状態にする |
処理方法が担当者の記憶にある | 勘定科目や自動仕訳のルールとして残す |
税理士へデータを後日送付する | 病院と税理士が同じデータを確認する |
進捗が担当者にしか分からない | 未処理・確認中の項目を共有する |

自動仕訳も、一度設定すれば終わりではありません。
誤った仕訳を継続して登録しないよう、仕訳を承認する人、残高を確認する人、登録ルールを修正する人を決める必要があります。
クラウド会計は属人化を解消するための土台であり、導入しただけで経理体制が完成するわけではありません。
病院の医業未収金や未着請求を含め、月次決算を早める具体的な方法は、関連記事「病院の月次決算を早めるクラウド会計|医業未収金・未着請求の整理」で詳しく解説しています。
税理士法人シーガルが支援できる経理体制の立て直し
税理士法人シーガルは、医療法人・個人開業医を専門とする税理士法人です。
病院規模の医療法人を含む医療機関の支援経験を踏まえ、一般企業とは異なる医業未収金、未着請求、部門別損益、診療報酬の入金管理など、医療機関特有の会計処理を考慮して経理体制を整えます。
経理担当者が退職した病院では、単に会計ソフトを入れ替えるのではなく、現在の会計データ、医事システムとの照合方法、資料の流れ、院内の役割分担まで確認する必要があります。
税理士法人シーガルでは、現在の状況や資料の保存状態に応じて、会計データの復旧、クラウド会計への移行、月次決算の再開、その後の経営資料の整備まで段階的に支援します。
現在の会計データと処理状況の確認
最初に、現在使用している会計ソフト、最後に月次決算を完了した月、入力済みの期間、未処理の取引などを確認します。
試算表が作成されている場合でも、主要な残高が外部資料と一致しているとは限りません。
会計データと関係資料を照合し、どこまでの数字を信頼できるのか確認します。
主要な残高と未処理事項の整理
現預金、医業未収金、買掛金・未払金、借入金、固定資産などを中心に、帳簿残高と外部資料の不一致を洗い出します。
すぐに原因が分からない項目については、確認資料、担当者、期限を決め、当月の処理を止めずに調査できる形へ整理します。
クラウド会計への移行と運用設計
クラウド会計への移行が適している場合は、単に過去データを移すだけでなく、次の項目を整理します。
勘定科目・補助科目・部門の設計
移行日と開始残高
銀行口座やクレジットカードとの連携
自動仕訳ルール
証憑の保存方法
仕訳の入力者と承認者
月次残高の確認方法
病院と税理士の役割分担
月次決算の締切と報告日
過去の処理方法をそのままクラウド上へ移すのではなく、二重入力や担当者独自の集計を減らすことが重要です。
月次決算を継続するための役割分担
経理業務をすべて病院外へ移せるわけではありません。
取引内容の確認、各部門からの資料回収、支出の承認、医事データの確認などは、病院内で対応する必要があります。
その一方で、勘定科目の判断、主要残高の検証、月次決算の整理、税務判断などは、税理士と共有できます。
病院内で担当する業務と、税理士が確認する業務を明確にし、後任者一人に処理と判断のすべてが集中しない体制を設計します。
月次試算表を経営判断に使える資料へ戻す
会計入力を再開するだけでなく、月次試算表を安定して作成できるようになった後は、前年同月や予算との差額、部門別損益、資金繰りなどを確認できる状態へ進めます。
最初からすべての経営資料を再現するのではなく、主要残高の復旧、月次損益の作成、経営資料の整備という順番で進めます。
医療法人・個人開業医専門だからこそ、遠方の病院規模の医療法人にも対応する
税理士法人シーガルは神奈川県茅ヶ崎市にありますが、支援地域を神奈川県内に限定していません。
これまでに沖縄県、福島県、岡山県など、遠方にある病院規模の医療法人・医療機関へ実際に伺い、クラウド会計の導入や経理体制の整備を支援してきました。
遠方の医療機関にも対応できる理由は、クラウド会計を利用していることだけではありません。
シーガルは医療法人・個人開業医を専門としているため、次のような医療機関特有の会計実務を踏まえて、導入後の運用まで設計します。
医事システムと医業未収金の照合
レセプト請求、返戻、査定、患者負担分の整理
医薬品費、診療材料費、未着請求の月次計上
病棟、外来、介護施設などの部門別管理
補助金や設備投資、借入金を含めた資金繰り
院内担当者と税理士の役割分担
理事長や事務長が確認する月次資料の作成
原則として代表税理士が現地へ伺い、現在の会計データ、資料の流れ、支払承認、医事システムとの照合方法などを確認します。
その後の日常的な相談や月次残高の確認には、クラウド上の会計データ、電話、メール、LINEなどを活用し、必要に応じて再度現地へ伺います。
遠方でも対応できるのは、すべてをオンラインで済ませるからではありません。医療機関の会計実務を理解した税理士が最初に現地の状況を確認し、その後の継続的な支援にクラウド会計を活用するからです。
月次決算は3段階に分けて立て直す
退職直後から、従来と同じ精度の部門別資料や経営会議資料をすべて再現しようとすると、復旧作業が進まないことがあります。
最初の目標は、きれいな資料を作ることではなく、信頼できる月次の数字を止めずに出せるようにすることです。
第1段階:会計データと主要残高を復旧する
まず、会計入力を再開し、次のような主要残高を確認します。
現預金
医業未収金
買掛金・未払金
借入金
固定資産
仮払金・仮受金
この段階では、処理済みと未処理を明確に分け、過去から続いている不明残高を洗い出すことが重要です。
すべての不明点が解決していなくても、確認中の項目を一覧化し、当月分の処理を継続できる状態を作ります。
第2段階:月次損益を継続して作れるようにする
次に、医業収入、医薬品費、診療材料費、委託費、減価償却費など、病院の収支に大きな影響を与える項目を月次で反映します。
すべての請求書が届くまで待つのではなく、必要に応じて概算計上を行い、月次速報と月次確定を分ける方法も検討します。
重要なのは、月によって処理方法や締める日が変わらないよう、月次決算のルールと予定を決めることです。
第3段階:経営判断に使える数字へ戻す
月次試算表を安定して作れるようになったら、次の数字を確認できる体制へ進めます。
病院全体の月次損益と前年同月・予算との差
病棟、外来、介護施設などの部門別損益
医業収入、人件費、医薬品費、診療材料費、委託費の推移
現預金残高、借入返済、設備投資を含めた資金繰り
一時的な要因を除いた実質的な収支
ここまで整備すると、月次試算表が単なる会計資料ではなく、理事長や事務長が次の対応を決めるための資料になります。

経理担当者の退職時に、現在の税理士へ確認したいこと
経理担当者が退職したからといって、必ず顧問税理士を変更しなければならないわけではありません。
まず、現在の契約内容を確認したうえで、どこまで支援を受けられるのか相談します。
確認したいのは、次のような点です。
税理士も最新の会計データを確認できる状態か
最後に月次決算を締めた月を把握しているか
現在の未処理事項を説明できるか
預金、医業未収金、未払金、借入金などの主要残高を確認できるか
病院内と税理士の役割分担を整理できるか
後任者が決まるまでの会計処理について相談できるか
クラウド会計への移行や運用設計に対応できるか
部門別損益、予算実績、資金繰りなどを説明できるか
院内担当者が交代しても月次決算を継続できる体制を提案できるか
現在の税理士が会計データを共有し、残高確認や経理体制の再構築まで支援できるのであれば、退職だけを理由に税理士を変更する必要はありません。
一方、経理担当者が作成した資料を受け取るだけで、元の会計データや処理方法を税理士も把握していない場合、院内の担当者が退職すると税理士側でも復旧できないことがあります。
顧問税理士の見直しを検討した方がよいケース
次の項目に複数当てはまる場合は、後任者の採用だけでなく、顧問税理士との連携方法も見直した方がよいかもしれません。
会計データの入力や月次試算表が数か月遅れている
前任者しか勘定科目や月次処理のルールを把握していない
税理士も、前任者が作った資料を受け取るまで数字を確認できない
決算と申告の時期以外は、会計データをほとんど確認していない
試算表は届くものの、収支が変動した理由を説明してもらえない
医業未収金、未着請求、部門別損益など、病院特有の処理を相談しにくい
クラウド会計による会計データの共有に対応していない
経理担当者が交代した場合の役割分担を提案してもらえない
解決策が「同じ経験を持つ後任者を採用すること」だけになっている
税理士を見直す目的は、単に会計ソフトを変更することではありません。
院内の担当者が変わっても、病院と税理士が同じ会計データを確認し、月次決算と経営に必要な数字を継続して作れる体制へ変えることが目的です。
退職直後に、現在の税理士まで急いで解約しない
院内の経理担当者が退職した直後に、現在の顧問税理士まで解約すると、院内と院外の会計情報を同時に失うことになりかねません。
税理士の変更を検討する場合でも、まず現在の契約を継続したまま、候補となる税理士へ同じ課題を伝え、次の点を比較する方法が安全です。
病院会計や医療法人への理解
現在の会計データを確認したうえでの説明力
経理担当者と税理士の役割分担の考え方
クラウド会計を導入する目的と移行手順
月次決算の締め方と、経営に使う数字の提供方法
相談への対応速度
実際に担当する税理士との相性
「先に解約してから新しい税理士を探す」のではなく、「現在の税理士との契約を残したまま比較し、納得してから決める」ことが、経理体制が不安定な時期のリスクを抑えます。

よくある質問
引継ぎ資料がほとんどなくても、経理業務は復旧できますか?
会計ソフトのデータ、総勘定元帳、預金明細、医事システムの集計、請求書、固定資産台帳、借入金返済予定表などが残っていれば、過去の処理をたどり、一定程度まで復旧できる可能性があります。
ただし、どの月まで正しく処理されているか、過去から不明残高が残っていないかによって、必要な作業量は変わります。
まずは最後に信頼できる月次残高を特定することが重要です。
退職を機に、すぐクラウド会計へ変更した方がよいですか?
必ずしも、退職直後に会計ソフトを変更する必要はありません。
まず現在の会計データと主要残高を確保し、どこまで処理されているかを確認します。
そのうえで、移行日、開始残高、連携する口座、勘定科目、部門、証憑保存の方法を決めてから移行する方が安全です。
復旧とシステム移行を同時に急ぐと、過去の未処理事項と移行後の処理が混在し、かえって差額の原因を追いにくくなることがあります。
クラウド会計を導入すれば、属人化は解消できますか?
クラウド会計だけでは解消できません。
複数の管理者、利用権限、勘定科目と自動仕訳のルール、月次締めの予定、未処理事項の管理、残高を確認する人まで決める必要があります。
ソフトの操作方法を一人しか知らなければ、「クラウド会計を導入した人への属人化」に変わるだけです。
後任者が決まるまで、経理業務をすべて税理士へ任せられますか?
病院内でしか判断できない業務まで、すべて税理士へ任せることは困難です。
たとえば、取引内容の確認、各部門からの資料回収、支出の承認、医事データの確認などは、院内で担当者を決める必要があります。
一方、会計処理のルール、主要残高の確認、未処理事項の整理、月次決算の進め方などは、税理士と共有できます。
どこまでを院内で行い、どこからを税理士が支援するかを明確にすることが重要です。
経理業務の復旧には、どのくらいの期間がかかりますか?
必要な期間は、最後に月次決算を完了した時期、会計データの状態、不明残高の数、関係資料の保存状況などによって異なります。
直近まで入力され、外部資料も残っていれば比較的早く再開できることがあります。
一方、数か月以上処理が止まっている場合や、医業未収金・未払金などに長期間の差額がある場合は、当月分の処理と過去分の調査を分けて進める必要があります。
最初から復旧完了日だけを決めるのではなく、「主要残高の確認」「月次損益の再開」「経営資料の整備」に分けて予定を立てる方が現実的です。
茅ヶ崎市から離れた病院でも依頼できますか?
はい、対応可能です。
税理士法人シーガルは神奈川県茅ヶ崎市にありますが、これまでに沖縄県、福島県、岡山県の病院規模の医療法人・医療機関についても、実際に現地へ伺ったうえでクラウド会計の導入を支援しています。
遠方の場合でも、原則として代表税理士が現地へ伺い、現在の会計データ、院内の経理業務、資料の流れ、役割分担などを確認します。
導入後の日常的な相談や月次残高の確認には、クラウド上の会計データ、電話、メール、LINEなどを活用し、必要に応じて再度現地へ伺います。
遠方だからといって、導入作業をオンラインだけで完結させるわけではありません。また、病院側が茅ヶ崎市までお越しいただく必要もありません。
現在の税理士を変更すべきか、どのように判断すればよいですか?
まず、現在の税理士へ、最新データの確認、月次決算の復旧、クラウド会計への対応、病院内との役割分担について相談します。
必要な支援を受けられるのであれば、変更する必要はありません。
一方、税理士も前任者から完成済みの資料を受け取るだけで、会計処理や残高を把握していない場合は、別の税理士との比較を検討する余地があります。
60日間の無料期間中に、残高復旧やクラウド会計の導入も依頼できますか?
60日間の「ゆるやかな税理士変更プラン」は、現在の顧問税理士との契約を継続したまま、シーガルの税務顧問としての対応や相性を確認していただくためのプランです。
無料期間中の記帳代行、決算・年次業務、クラウド会計などのITツール導入は対象に含まれません。
経理担当者の退職によって残高復旧やクラウド会計の導入が必要な場合は、現在の会計データや未処理事項を確認したうえで、正式契約後の対応範囲や進め方をご案内します。
まとめ
病院の経理担当者が突然退職したとき、急いで後任者を採用するだけでは、経理の属人化は解消しません。
まず、会計ソフト、試算表、総勘定元帳、預金明細、医業未収金、未払金、固定資産、借入金などの資料を確保し、最後に正しく締められた月と現在の未処理事項を確認します。
そのうえで、経理業務を、病院内に残すもの、クラウドで効率化するもの、税理士と共有するもの、廃止するものに分けます。
目指すべきなのは、特定の担当者がいなければ動かない経理から、担当者が交代しても月次決算と経営に必要な数字が止まらない経理へ変えることです。
現在の税理士がその体制づくりを支援できるのであれば、変更する必要はありません。
対応が難しい場合でも、経理体制が不安定な時期に急いで解約するのではなく、現在の契約を維持したまま、病院会計に詳しい税理士の対応を比較する方法があります。
経理担当者退職後の立て直しについて相談する
税理士法人シーガルは、医療法人・個人開業医を専門とする税理士法人です。
病院規模の医療法人を含む医療機関の支援経験を踏まえ、病院会計に詳しい代表税理士が、現在の会計データ、最後に締められた月、未処理事項、院内と税理士の役割分担を確認し、月次決算を再開するための進め方をご提案します。
支援内容は、現在の状況に応じて次のように整理します。
会計データと主要残高の確認
未処理事項や不明残高の洗い出し
月次決算を再開する順序の整理
病院内と税理士の役割分担
クラウド会計への移行と運用設計
月次試算表や経営資料の作成体制
必要に応じた現地での経理業務の確認
現在の顧問税理士を先に解約する必要はありません。
税理士変更も含めて比較したい場合は、「ゆるやかな税理士変更プラン」により、現在の顧問税理士との契約を継続したまま、シーガルをセカンドオピニオンとして60日間無料でお試しいただけます。
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60日の期間中はいつでもキャンセルでき、期間終了後に自動で顧問契約へ切り替わることもありません。
現在の税理士との契約を続けるか、シーガルへ変更するかを、実際の対応や相性を確認してからお選びいただけます。
なお、無料期間中の記帳代行、決算・年次業務、クラウド会計などのITツール導入は対象に含まれません。
これらが必要な場合は、現在の状況を確認したうえで、正式契約後の対応範囲と進め方をご案内します。

この記事の監修者

税理士法人シーガル
代表社員/
税理士・公認会計士
中込 政博
あずさ監査法人・辻本郷税理士法人を経て、税理士法人シーガルを設立。税金に関する相談はもちろんのこと、公認会計士ですので、医業経営についてもぜひご相談ください!

税理士法人シーガル
代表社員/
税理士・行政書士
遠藤 大樹
医療特化会計事務所・税理士法人山田&パートナーズを経て、税理士法人シーガルを設立。医師・歯科医師に対する税務顧問の他、相続税申告や相続対策・医業承継もお任せください!
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