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JOURNAL

2026.6.18

病院の資金繰り改善|理事会・金融機関に説明できる5つの資料

「赤字が続いていて、資金繰りが不安」
「債務超過になっており、金融機関への説明に困っている」
「利益は出ているのに、借入返済や設備投資で現預金が増えない」

病院経営では、このような悩みが出ることがあります。

病院の資金繰り改善では、最初から借入交渉やコスト削減に入るのではなく、まず現預金がいつ、なぜ減るのかを資料で見える化することが大切です。

損益計算書だけを見ても、借入返済元本、設備投資、補助金の入金時期、税金や社会保険料の支払いまでは見えにくいからです。

特に赤字・債務超過の病院では、理事会や金融機関に対して、次のような内容を説明できる資料が必要になります。

  • いつ資金が不足するのか

  • 資金不足の原因は何か

  • 借入返済は返済原資でまかなえているのか

  • 設備投資や修繕の支払いはいつ発生するのか

  • どのKPIを改善すれば資金繰りにどれだけ効くのか

この記事では、病院の資金繰り改善で最初に整えるべき5つの資料を、理事長・事務長向けに実務目線で解説します。

病院の資金繰り改善は、資料を作ることより「どこを見るか」が重要

病院の資金繰り改善で見る5つの判断資料

病院の資金繰り改善では、資料を作るだけでは不十分です。

大切なのは、作った資料の中でどこを見るかです。

たとえば、資金繰り表を作っても、月末現預金残高だけを見ていると、月中の資金不足を見落とすことがあります。借入返済予定表を作っても、返済原資と比較しなければ、返済負担がどれだけ重いのか判断できません。

病院の資金繰り資料では、次の5つの視点が重要です。

見るべき視点

何がわかるか

月内最低現預金額

月中に資金ショートする可能性があるか

返済原資不足額

借入返済がどれだけ資金繰りを圧迫しているか

キャッシュアウトの山

設備投資・修繕で資金が大きく出る時期

KPI改善の月次効果額

改善策が現預金にどれだけ効くか

1枚サマリー

理事会・金融機関に説明すべき要点

この記事で紹介する5つの資料は、単に「作って終わり」の資料ではありません。
理事会や金融機関に対して、病院の資金繰りを説明するための判断資料です。

病院の資金繰りは、黒字か赤字だけでは判断できない

病院の資金繰り改善では、いきなり「借りられるか」「返済を止められるか」から考えるのではなく、まず現預金が減る理由を分解することが重要です。

損益計算書では黒字でも、資金繰りが苦しい病院はあります。反対に、損益計算書では赤字でも、短期的には資金が回っている病院もあります。

つまり、病院の資金繰りは、黒字か赤字かだけでは判断できません。

赤字だから資金繰りが苦しい、とは限らない

病院が赤字であれば、当然、資金繰りは厳しくなりやすいです。
ただし、赤字だから必ずすぐに資金が尽きるわけではありません。

たとえば、減価償却費が大きく、借入返済元本が少ない場合、損益上は赤字でも短期的には資金が回っていることがあります。

一方で、黒字でも資金が減るケースがあります。

  • 借入返済元本が大きい

  • 高額医療機器の更新がある

  • 建物修繕や病棟改修が重なる

  • 消費税や法人税の支払いが重い

  • 社会保険料や賞与の支払いが集中する

  • 補助金の入金が遅れる

  • 予定していた借入実行が遅れる

病院の資金繰りを見るときは、損益計算書だけでは足りません。
現預金がいつ、なぜ減るのかを、月次で確認する必要があります。

病院の資金繰りは、簡易式で見るとわかりやすい

病院が黒字でも資金繰りが悪化する仕組み

病院の現預金増減は、簡易的には次の式で考えるとわかりやすいです。

税引後利益+減価償却費−借入返済元本−設備投資の自己資金負担+新規借入 ≒ 簡易的な現預金増減

この式で大切なのは、利益と現預金は同じではないということです。

減価償却費は損益計算書上の費用ですが、現金支出ではありません。
一方で、借入返済元本は損益計算書の費用ではありませんが、現金は確実に出ていきます。

そのため、病院の資金繰り改善では、利益だけでなく、減価償却費、借入返済元本、設備投資、借入実行をまとめて見る必要があります。

借入返済元本は、損益計算書に出ないから見落としやすい

病院の資金繰りで見落とされやすいのが、借入返済元本です。

病院は、建物、医療機器、電子カルテ、病棟改修、空調設備など、大型投資が必要になりやすい業種です。
そのため、借入残高が大きく、毎月の返済元本が資金繰りを圧迫しているケースがあります。

しかし、借入返済元本は損益計算書には費用として表示されません。
だからこそ、返済予定表を作らないと、資金不足の時期が見えにくくなります。

病院の資金繰り改善で最初に作るべき5つの資料

病院の資金繰り改善で作る資料は、単なる一覧表では足りません。

資金繰りが厳しい病院では、目先の支払いだけでなく、借入返済、設備投資、修繕、補助金、税金、人件費まで含めて、月次で資金の流れを確認する必要があります。

特に病院規模の医療法人では、理事会や金融機関に対して、「いつ資金が不足するのか」「返済原資はどこにあるのか」「どの設備投資を優先するのか」「どのKPIを改善するのか」を説明できる資料が重要です。

そのため、最初に作るべき資料は、次の5つです。

  1. 月末残高・月内最低現預金額がわかる12か月資金繰り予測表

  2. 返済原資不足額がわかる借入返済予定表

  3. キャッシュアウトの山がわかる設備投資・修繕一覧

  4. 月次効果額がわかる収支改善KPIロードマップ

  5. 理事会・金融機関に説明する1枚サマリー

この5つを作ると、資金不足の時期、返済負担、設備投資の優先順位、改善策、理事会・金融機関への説明内容が整理しやすくなります。

1. 月末残高・月内最低現預金額がわかる12か月資金繰り予測表

最初に作るべき資料は、12か月資金繰り予測表です。

ただし、ここで重要なのは、単に12か月分の月末残高を並べることではありません。

病院の資金繰りでは、月末現預金残高月内最低現預金額の両方を見る必要があります。

月末残高だけでは、月中の資金不足を見落とすことがある

月末現預金残高と月内最低現預金額の違い

月末現預金残高がプラスでも、月中に資金ショートする可能性があります。

たとえば、月末には診療報酬の入金で残高が戻っていても、月中に給与、社会保険料、借入返済、税金、材料費、委託費などの支払いが集中すると、一時的に現預金が大きく下振れすることがあります。

そのため、12か月資金繰り予測表では、各月について次の2つを確認します。

指標

見る内容

月末現預金残高

月末時点でどれだけ現預金が残るか

月内最低現預金額

その月の中で、現預金が最大どこまで下がる可能性があるか

月内最低現預金額がゼロを下回る見込みであれば、月末残高がプラスでも、その月の途中で資金ショートする可能性があります。

その場合は、借入実行時期の前倒し、支払時期の調整、設備投資の延期、返済条件の見直しなどを、事前に検討する必要があります。

12か月資金繰り予測表で見る項目

病院で見るべき項目は、たとえば次の通りです。

区分

見る項目

入金

診療報酬、自費収入、補助金、借入実行

通常支出

人件費、薬品費、診療材料費、委託費、家賃、保守費

固定的支出

社会保険料、源泉所得税、リース料、借入返済

特別支出

医療機器、修繕、建替え関連費用、電子カルテ更新

税金

消費税、法人税、固定資産税等

残高

月末現預金残高、月内最低現預金額、借入余力

12か月資金繰り予測表では、資金不足が発生しそうな月を確認します。

さらに、病院では医療機器更新、電子カルテ更新、建物修繕、病棟改修など、中期的な投資が発生します。そのため、12か月の資金繰り予測に加えて、3か年の資金計画も作ると、返済・投資・借入の判断がしやすくなります。

12か月資金繰り予測表と3か年資金計画の違い

項目

12か月資金繰り予測表

3か年資金計画

目的

直近1年の資金不足時期を確認する

中期の返済・投資・資金余力を見る

単位

月次

年次または四半期

主な項目

診療報酬、人件費、材料費、税金、返済、設備投資

借入返済、医療機器更新、修繕、建替え、補助金

使う場面

月次管理、理事会、金融機関説明

中期計画、設備投資判断、借入交渉

重要指標

月末現預金残高、月内最低現預金額

最低現預金ライン、返済余力、投資余力

12か月資金繰り予測表では、月次の資金不足リスクを見ます。
3か年資金計画では、返済・投資・補助金・新規借入を含めて、病院全体の資金余力を見ます。

この2つを分けて作ることで、短期の資金管理と中期の経営判断を整理しやすくなります。

2. 返済原資不足額がわかる借入返済予定表

2つ目に作るべき資料は、借入返済予定表+返済原資比較表です。

借入返済予定表では、金融機関別の借入残高や毎月返済額を整理します。

ただし、病院の資金繰り改善では、返済予定を一覧化するだけでは不十分です。
大切なのは、年間返済元本が、返済原資でまかなえているかを確認することです。

返済原資不足額を見る

病院の返済原資不足額の考え方

返済原資は、簡易的には次のように見ます。

返済原資の目安 = 経常利益+減価償却費

そして、返済原資不足額は次のように見ます。

返済原資不足額 = 年間返済元本 − 返済原資の目安

年間返済元本が、経常利益と減価償却費の合計を上回っている場合、損益では黒字でも現預金は増えにくくなります。

項目

金額

経常利益

5,000万円

減価償却費

1億2,000万円

返済原資の目安

1億7,000万円

年間返済元本

2億1,000万円

返済原資不足額

4,000万円

この例では、経常利益と減価償却費を足した返済原資の目安が1億7,000万円であるのに対し、年間返済元本が2億1,000万円あります。

つまり、年間で4,000万円分、返済原資が不足していると見ることができます。

この不足額が大きい場合、利益が出ていても、借入返済によって現預金が減りやすくなります。

借入返済予定表で見る項目

借入返済予定表では、次のような項目を整理します。

金融機関

借入残高

毎月返済

年間返済

金利

最終返済

担保・保証

元金据置

A銀行

3億円

500万円

6,000万円

1.2%

2030年

不動産担保

なし

B銀行

1億円

200万円

2,400万円

1.5%

2029年

保証あり

なし

金融機関C

5億円

800万円

9,600万円

1.0%

2035年

あり

なし

この表で確認したいのは、次の点です。

  • 年間返済元本が返済原資を超えていないか

  • 返済が集中する月がないか

  • 元金据置期間が終わるタイミングはいつか

  • 金利上昇の影響はあるか

  • 設備投資の新規借入と既存返済が重ならないか

  • 金融機関ごとの返済条件に偏りがないか

この資料は、金融機関説明でもかなり重要です。

「返済が重いです」と言うだけでなく、返済原資不足額を示すことで、どれだけ返済負担が資金繰りを圧迫しているかを説明しやすくなります。

3. キャッシュアウトの山がわかる設備投資・修繕一覧

3つ目に作るべき資料は、設備投資・修繕キャッシュアウト一覧です。

病院では、設備投資や修繕を完全に止めることはできません。
医療機器、建物、空調、給排水、電子カルテ、病棟改修など、診療機能を維持するための投資が必要になるからです。

ただし、資金繰りが厳しいときは、すべての投資を同時に進めることはできません。

設備投資は「投資額」ではなく「キャッシュアウトの山」で見る

病院の設備投資と修繕で資金流出が集中する仕組み

設備投資一覧では、投資総額だけを見ても不十分です。

病院の資金繰りでは、契約金、中間金、残金、補助金入金、借入実行のタイミングがズレることで、一時的に資金が詰まることがあります。

そのため、設備投資は「投資額」ではなく、キャッシュアウトの山で見る必要があります。

投資内容

金額

契約金

中間金

残金

支払時期

資金手当

優先度

CT更新

8,000万円

1,000万円

0円

7,000万円

9月

借入+自己資金

必須

空調更新

3,000万円

500万円

1,000万円

1,500万円

8〜11月

自己資金

必須

電子カルテ更新

5,000万円

1,000万円

2,000万円

2,000万円

2月

借入

再検討

このように、支払時期を分けて整理すると、どの月に資金流出が大きくなるのかが見えます。

補助金・借入・消費税のタイミングも見る

病院では、設備投資や修繕について、次の点も確認します。

確認項目

見る理由

保守期限

更新を遅らせるリスクを確認する

故障リスク

診療停止リスクを確認する

診療収入への影響

投資が収入維持・増加に必要かを見る

補助金入金時期

支払いより入金が遅れないかを見る

控除対象外消費税

自己資金負担が増えないかを見る

借入実行日

支払時期とズレないかを見る

設備投資は、支払時期と借入実行時期がズレると、一時的に資金繰りを圧迫します。
また、補助金がある場合でも、支払いより入金が後になることがあります。

そのため、設備投資・修繕は「いつ契約するか」だけでなく、いつ現金が出るか、いつ資金手当が入るかまで見ておく必要があります。

高額医療機器の更新については、病院の高額医療機器更新はいつ?融資・補助金・資金繰りの考え方でも詳しく解説しています。

また、大型投資に伴う消費税負担については、病院の控除対象外消費税とは?黒字でもお金が残らない理由を解説もあわせて確認するとよいです。

4. 月次効果額がわかる収支改善KPIロードマップ

4つ目に作るべき資料は、収支改善KPIロードマップです。

資金繰りが苦しい病院では、理事会や金融機関に対して、単に「収益を改善します」「費用を削減します」と説明しても不十分です。

必要なのは、次の4つです。

  • どのKPIを改善するのか

  • 誰が担当するのか

  • いつから効果が出るのか

  • いくら改善する見込みなのか

KPIは、資金繰りへの影響額まで落とす

病院の収支改善KPIロードマップ

KPIは、改善目標を書くだけでは不十分です。

病床稼働率、人件費率、委託費率などの改善が、月次の現預金にいくら影響するのかまで落とし込む必要があります。

金融機関に説明する場合も、「稼働率を改善します」ではなく、
「稼働率改善により月500万円の入金改善を見込んでいます」
と説明できる方が伝わります。

改善項目

現状

目標

施策

効果見込

担当

病床稼働率

78%

83%

退院調整・紹介連携強化

月500万円改善

地域連携室

入院単価

42,000円

44,000円

算定項目の見直し

月300万円改善

医事課

人件費率

62%

59%

シフト見直し・残業削減

月400万円改善

看護部

委託費

月2,000万円

月1,850万円

契約見直し

月150万円改善

事務部

材料費率

18%

17%

購買条件見直し

月200万円改善

購買担当

さらに、資金繰り改善では、効果が出る時期も重要です。

改善施策

効果発生時期

単月効果

年間効果

資金繰りへの影響

病床稼働率改善

3か月後

500万円

6,000万円

入金増

委託費見直し

2か月後

150万円

1,800万円

支出減

残業削減

翌月

100万円

1,200万円

支出減

設備投資延期

即時

0円

0円

一時支出回避

このロードマップがあると、理事会や金融機関に対して「どの数字を、誰が、いつまでに、どれだけ改善するのか」を説明しやすくなります。

収支改善計画は、単なる損益の改善計画ではありません。
資金繰りがいつ改善するかまで落とすことが大切です。

本部費や拠点別損益の整理については、病院医療法人の本部費配賦とは?拠点別損益の見える化を徹底解説も参考になります。

人件費率や賃上げの見方については、医療法人の人件費率相場と賃上げのポイントもあわせて確認できます。

5. 理事会・金融機関に説明する1枚サマリー

病院が理事会や金融機関に説明するための1枚サマリー

5つ目に作るべき資料は、理事会・金融機関向け1枚サマリー+添付資料セットです。

理事会や金融機関に説明するときは、試算表や資金繰り表をそのまま渡すだけでは伝わりにくいことがあります。

まずは、資金不足の原因、必要な支援額、返済原資、改善施策を1枚にまとめることが大切です。
そのうえで、12か月資金繰り予測表、3か年資金計画、借入返済予定表、設備投資一覧、収支改善KPIロードマップを添付資料として用意します。

1枚サマリーに入れる7項目

理事会・金融機関向け1枚サマリーには、次の7項目を入れます。

  1. 現在の資金残高

  2. 12か月後の予測残高

  3. 月内最低現預金額が最も低くなる月

  4. 年間返済元本と返済原資不足額

  5. 設備投資・修繕のキャッシュアウト予定

  6. 収支改善KPIと効果見込額

  7. 金融機関に相談したい内容

これらを1枚にまとめることで、理事長、事務長、法人本部、理事会、金融機関が同じ前提で話しやすくなります。

1枚サマリーの構成例

項目

書く内容

現状

赤字・債務超過・資金不足の概要

資金不足時期

いつ、いくら不足するか

主な原因

返済負担、設備投資、人件費、入金遅れなど

支援希望

追加融資、返済条件見直しなど

返済原資

経常利益+減価償却費、返済原資不足額

改善策

稼働率改善、費用見直し、投資優先順位

添付資料

資金繰り表、返済予定表、改善計画など

添付資料セットは、次のように整理します。

添付資料

役割

最新の試算表

足元の損益と財務状況を示す

12か月資金繰り予測表

直近1年の資金不足時期を示す

3か年資金計画

中期の返済・投資・資金余力を示す

借入返済予定表

返済負担を示す

設備投資一覧

必要な投資と支払時期を示す

収支改善KPIロードマップ

改善策と効果見込を示す

理事会資料

法人としての意思決定を示す

この資料は、単に融資を受けるための資料ではありません。
理事長、事務長、法人本部、理事会、金融機関が同じ数字を見るための資料です。

資金繰り資料は、理事会・金融機関に説明できる形にする

資金繰り資料は、経理担当者だけが見て終わるものではありません。

病院の資金繰り改善では、理事会や金融機関に対して、わかりやすく説明できる状態にすることが重要です。

特に、次のような説明ができると、話し合いが進めやすくなります。

  • 12か月のうち、資金が最も下振れする月はいつか

  • 月内最低現預金額は、最大どこまで下がるか

  • 返済原資不足額はいくらか

  • 設備投資・修繕の支払いは、どの月に集中するか

  • KPI改善によって、月次の資金繰りにいくら効果が出るか

  • 金融機関に相談したい内容は何か

資料を作る目的は、単に数字を並べることではありません。
病院の資金繰りを、理事会や金融機関に説明できる状態にすることです。

資金繰り資料を整えたい方へ

12か月資金繰り予測表や返済原資比較表を作っても、「どこから改善すべきか判断しきれない」という病院も多いと思います。

資金不足の時期、返済負担、設備投資の優先順位を整理したい方は、無料の初回面談をご利用ください

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病院の資金繰り改善でやってはいけないこと

病院の資金繰り改善でやってはいけないこと

資金繰りが厳しくなると、目の前の支払いをどう乗り切るかに意識が向きがちです。

しかし、場当たり的な対応を続けると、金融機関や取引先からの信用を失い、かえって選択肢が狭くなることがあります。

ここでは、病院の資金繰り改善でやってはいけないことを整理します。

税金・社会保険料の支払いを後回しにする

資金繰りが厳しいときに、税金や社会保険料の支払いを後回しにしたくなることがあります。

しかし、税金や社会保険料の滞納は、金融機関からの信用にも影響します。
追加融資や返済条件の見直しを検討する場面でも、不利に働く可能性があります。

資金繰りが厳しい場合でも、税金・社会保険料の支払い状況は早めに整理し、必要に応じて関係機関と相談することが大切です。

設備投資をすべて止める

資金繰りが厳しいときに、設備投資をすべて止める判断も危険です。

設備投資を止めれば、一時的に資金流出は抑えられます。
ただし、病院では医療機器や設備を止めすぎると、診療機能、紹介患者、医療安全、職員の働きやすさに影響します。

大切なのは、設備投資をすべて止めることではありません。
必須、延期可能、再検討に分けて優先順位をつけることです。

返済条件変更だけで終わらせる

返済条件を変更すれば、短期的な資金繰りは楽になることがあります。

しかし、返済条件変更だけでは根本的な改善にはなりません。
収支改善がなければ、返済条件を変更しても、いずれまた資金が詰まります。

返済条件変更を検討する場合でも、同時に、12か月資金繰り予測表、3か年資金計画、収支改善KPIロードマップ、設備投資・修繕キャッシュアウト一覧、理事会・金融機関向け説明資料を整える必要があります。

現場に数字を共有しない

理事長や事務長だけが資金繰りを見ていても、改善は進みにくいです。

もちろん、すべての財務情報を現場に共有する必要はありません。
ただし、病床稼働率、人件費率、委託費率、材料費率、残業時間、紹介患者数など、現場に関係する数字は、院長、看護部、医事課、管理部門と共有した方が改善につながりやすくなります。

資金繰り改善は、経理だけの仕事ではありません。
病院全体で、どの数字を改善するのかを共有することが大切です。

病院の資金繰り改善は、月次で数字を見える化することが大切

マネーフォワードクラウド会計とBixidで病院の資金繰りを月次管理する流れ

病院の資金繰り改善では、一度だけ資金繰り表を作れば終わりではありません。

診療報酬の入金、人件費、材料費、委託費、借入返済、設備投資、税金の支払いは毎月動きます。
そのため、資金繰りを改善するには、毎月の会計データを整え、同じ形式で継続的に確認できる仕組みが必要です。

特に病院、老健、介護医療院、在宅クリニック、法人本部などを運営している医療法人では、法人全体の数字だけを見ても、どの部門で利益が出ているのか、どの部門で資金負担が重くなっているのかが見えにくくなります。

そのため、シーガルでは、クラウド会計と経営管理ツールを組み合わせて、月次で数字を見える化しています。

マネーフォワードクラウド会計で、会計データを整理する

税理士法人シーガルでは、クラウド会計としてマネーフォワードクラウド会計を導入しています。

マネーフォワードクラウド会計は、日々の仕訳や会計データをクラウド上で管理できる会計ソフトです。
病院経営で重要なのは、単に決算書を作ることではなく、月次で使える形に会計データを整理することです。

たとえば、病院、老健、介護医療院、在宅クリニック、法人本部のように部門を分けて会計データを整理すると、次のようなことが確認しやすくなります。

  • 病院本体の損益

  • 老健や介護医療院の採算

  • 在宅クリニックの収益性

  • 法人本部の共通費

  • 部門ごとの人件費や委託費

  • 部門別の利益・赤字

資金繰りを改善するには、まずこのように、会計データを「経営判断に使える形」に整えることが大切です。

Bixidで、損益・資金繰り・KPIを見やすく整理する

会計データを整理したうえで、シーガルではBixidを使って、すべてのお客様の経営報告・予実管理を行っています。

Bixidは、会計データをもとに、損益、資金繰り、借入返済、予実管理、KPIなどを見やすく整理できる経営支援クラウドです。

試算表だけを見ると、数字の意味が分かりにくいことがあります。
たとえば、利益は出ていても、借入返済や設備投資で現預金が減っている場合、損益計算書だけでは資金繰りの実態が見えにくくなります。

Bixidを使うことで、次のような数字を月次で確認しやすくなります。

区分

確認する内容

損益

医業収入、人件費、材料費、委託費、医業利益

資金繰り

月末現預金、月内最低現預金額、税金、社会保険料

借入

金融機関別残高、毎月返済額、年間返済額

投資

医療機器、修繕、システム更新、建替え関連費用

KPI

病床稼働率、入院単価、外来患者数、人件費率、材料費率

病院の資金繰り改善では、数字を作るだけでなく、理事長・事務長・金融機関が同じ数字を見て、次の判断につなげることが重要です。

シーガルでは、月次の経営報告にBixidを活用しています

シーガルでは、Bixidを「ツールを入れて終わり」にしていません。

毎月の打ち合わせや経営報告の中で、損益、資金繰り、借入返済、設備投資、部門別損益をわかりやすく確認するために活用しています。

たとえば、病院の資金繰りを見る場合は、次のような流れで整理します。

  1. マネーフォワードクラウド会計で会計データを整える

  2. 病院・老健・介護医療院・在宅・法人本部などの部門別に数字を確認する

  3. Bixidで損益・資金繰り・借入返済・KPIを見やすく整理する

  4. 月次で前月との差、計画との差、資金繰りへの影響を確認する

  5. 必要に応じて、理事会や金融機関への説明資料に反映する

資金繰り改善では、資料を一度作るだけでなく、毎月の数字を見ながら、原因と次のアクションを確認していくことが大切です。

数字を見るだけでなく、原因と次のアクションを残す

月次管理では、数字を見るだけで終わらせないことが大切です。

たとえば、次のようなコメントを残します。

  • 今月は賞与支払いで現預金が減少した

  • 補助金入金が翌月にズレたため、一時的に残高が低下した

  • CT更新の契約金支払いが発生した

  • 借入返済元本が前月より増加した

  • 病床稼働率改善により入金見込みは改善している

  • 委託費見直しの効果は翌月から反映予定

数字を見て終わるのではなく、原因と対応策を残すことで、理事会や金融機関との説明にも使いやすい資料になります。

まとめ

病院の資金繰り改善では、いきなり借入交渉やコスト削減に入るのではなく、まず資料で現状を見える化することが大切です。

特に赤字・債務超過の病院では、理事会や金融機関に対して、資金不足の時期、返済負担、設備投資の必要性、改善策を説明できる資料が必要になります。

最初に作るべき資料は、次の5つです。

  1. 月末残高・月内最低現預金額がわかる12か月資金繰り予測表

  2. 返済原資不足額がわかる借入返済予定表

  3. キャッシュアウトの山がわかる設備投資・修繕一覧

  4. 月次効果額がわかる収支改善KPIロードマップ

  5. 理事会・金融機関に説明する1枚サマリー

病院の資金繰り改善は、決算時だけでなく、月次で管理することが大切です。
損益、資金繰り、借入返済、設備投資、KPIを毎月確認することで、早い段階で改善策を検討できます。

病院の資金繰りを、資料から整理したい方へ

病院の資金繰り改善では、いきなり借入交渉やコスト削減に入るのではなく、まず資料で現状を見える化することが大切です。

「12か月資金繰り予測表を作りたい」
「月内最低現預金額まで確認したい」
「返済原資不足額を整理したい」
「設備投資・修繕のキャッシュアウトを一覧化したい」
「理事会や金融機関に説明できる1枚サマリーを整えたい」

このようなお悩みがある理事長先生・事務長の方は、まずは無料の初回面談をご利用ください。

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よくある質問

病院の資金繰り改善では、最初に何を作るべきですか?

最初に作るべき資料は、12か月資金繰り予測表、借入返済予定表、設備投資・修繕一覧、収支改善KPIロードマップ、理事会・金融機関向け1枚サマリーの5つです。資料を作るだけでなく、月内最低現預金額、返済原資不足額、キャッシュアウトの山、KPI改善の月次効果額を見ることが大切です。

12か月資金繰り予測表では何を見るべきですか?

12か月資金繰り予測表では、月末現預金残高だけでなく、月内最低現預金額を見ることが重要です。月末残高がプラスでも、月中に給与、社会保険料、借入返済、税金、設備投資などの支払いが集中すると、一時的に資金不足になることがあります。

月内最低現預金額とは何ですか?

月内最低現預金額とは、その月の中で現預金が最も少なくなる時点の残高です。

月末残高がプラスでも、月中に給与、社会保険料、借入返済、税金、設備投資などの支払いが集中すると、一時的に資金が不足することがあります。月内最低現預金額がゼロを下回る見込みであれば、資金ショートの可能性があるため、事前に資金手当を検討する必要があります。

返済原資不足額とは何ですか?

返済原資不足額とは、年間返済元本が、経常利益と減価償却費の合計をどれだけ上回っているかを示す金額です。

簡易的には、次のように計算します。

返済原資不足額 = 年間返済元本 −(経常利益+減価償却費)

返済原資不足額が大きい場合、損益では黒字でも現預金が増えにくくなります。

黒字でも資金繰りが苦しくなるのはなぜですか?

黒字でも、借入返済元本、設備投資、税金、社会保険料、賞与、補助金の入金遅れなどで現預金が減ることがあります。損益計算書だけでは借入返済元本や設備投資の支払いが見えにくいため、資金繰り表が必要です。

債務超過の病院では、どのような資料が必要ですか?

債務超過の病院では、最新の試算表、12か月資金繰り予測表、借入返済予定表、返済原資比較表、設備投資・修繕一覧、収支改善KPIロードマップ、理事会・金融機関向け1枚サマリーを整えることが重要です。

赤字や債務超過の原因、資金不足の時期、返済原資、改善策を説明できる状態にしておくことで、理事会や金融機関との話し合いがしやすくなります。

シーガルではBixidをどのように使っていますか?

シーガルでは、Bixidを使って毎月の経営報告・予実管理を行っています。病院の場合は、損益だけでなく、資金繰り、借入返済、設備投資、部門別損益、KPIをあわせて確認することが大切です。

Bixidは、試算表だけでは伝わりにくい数字を見やすく整理できるため、理事長・事務長との月次打ち合わせや、理事会・金融機関に説明するための資料整理にも活用しています。

無料の初回面談ではどこまで相談できますか?

無料の初回面談では、現状整理と顧問契約のご説明を行います。資金繰りでどこに論点がありそうか、どの資料から整理すべきか、といった方向性は確認できます。一方で、個別具体的な資金繰り判断や金融機関説明資料の作成は、顧問契約後に資料確認のうえで対応しています。

この記事の監修者

中込 政博

税理士法人シーガル

代表社員/

税理士・公認会計士

中込 政博

あずさ監査法人・辻本郷税理士法人を経て、税理士法人シーガルを設立。税金に関する相談はもちろんのこと、公認会計士ですので、医業経営についてもぜひご相談ください!

遠藤 大樹

税理士法人シーガル

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税理士・行政書士

遠藤 大樹

医療特化会計事務所・税理士法人山田&パートナーズを経て、税理士法人シーガルを設立。医師・歯科医師に対する税務顧問の他、相続税申告や相続対策・医業承継もお任せください!

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