2024.1.22
【開業医・医療法人専門税理士解説】医療法人社団と財団の違い
茅ヶ崎駅から徒歩4分の個人開業医・医療法人専門の税理士法人シーガルです。
開業予定の医師・歯科医師の方が医療法人について検索すると医療法人社団と医療法人財団の2つが出てきて、これから医療法人を設立する場合にどちらを設立すればよいか疑問に思う方もいらっしゃると思います。
今回は、医療法人の種類、医療法人社団と医療法人財団の違い、設立時にどの医療法人にするのが良いのかをわかりやすく解説していきます。
この記事は次の方にオススメです。
・開業予定の医師または歯科医師で
医療法人社団・医療法人財団の違いがわからない先生
医療法人の種類
医療法人は6種類ある
医療法人社団と医療法人財団の違いを解説する前に、医療法人の種類を解説いたします。
実は医療法人の種類は6つもあるのです。
まず大きく社団医療法人と財団医療法人に分かれます。
6種類の医療法人を図表でまとめると以下のようになります。

社団医療法人とは(①②③)
社団医療法人とは、金銭やその他の資産(医療機器や不動産など)の出資や拠出により設立された医療法人をいいます。
その中でも持ち分あり/なしによって①経過措置型医療法人②拠出型医療法人③基金拠出型医療法人にわかれていきます。
持ち分とは「退社したときに退社した人が出資した割合に応じて医療法人から払い戻しを受けたり、また医療法人を廃業するときに医療法人に残った財産を出資した人が出資した割合に応じて分けて貰えたりすること」をいいます。
①経過措置型医療法人
①経過措置型医療法人は持ち分あり医療法人であり、2007年4月以降設立ができない医療法人の種類です。
金銭その他の資産(不動産や医療機器など)の出資により設立された医療法人となります。
株式会社と同じようなイメージを持っていただければと思います。
②拠出型医療法人
②拠出型医療法人は持ち分なし医療法人です。①経過措置型医療法人とは異なり金銭やその他の資産(不動産や医療機器など)の拠出(①経過措置型医療法人は"出資")により設立された医療法人となります。
出資ではなく拠出になると、医療法人を廃業するときに医療法人に残った財産は国や地方公共団体等に引き渡すことになります。
③基金拠出型医療法人
③基金拠出型医療法人も持ち分なし医療法人です。②拠出型医療法人とは異なり基金制度を採用しています。
基金制度とは金銭やその他の資産(不動産や医療機器など)の拠出により設立したあと、医療法人を廃業するときに拠出した財産については返還を受けることができます。
一見、持ち分ありの①経過措置型医療法人と同じようにも見えますが、退社時に医療法人に1億円の現金が残っていた場合にいくら返還されるか考えてみましょう。
①経過措置型医療法人は1人が1,000万円を出資(持分割合100%)しているとすると、退社時に医療法人から1億円の財産が全額返還されます。
しかしながら、③基金拠出型医療法人は1人が1,000万円を基金拠出していたとしても、退社時には1,000万円までしか返還されません。
財団医療法人とは(④)
④財団医療法人とは、金銭やその他の資産(医療機器や不動産など)の寄附により設立されるにより設立された医療法人をいいます。
寄附になりますので、持ち分なしになり、医療法人を廃業するときに医療法人に残った財産は国や地方公共団体等に引き渡すことになります。
参考:社会医療法人とは(⑤)
⑤社会医療法人とは医療法に掲げる要件を満たした場合に、都道府県知事の認定を受けた医療法人をいいます。救急医療等の実施が義務付けられており、公益性が極めて高い医療法人です。
要件は厳格ですが、認定を受けることができると、病院や診療所、介護老人保健施設などの医療保険業から生じた利益に対しては、法人税が非課税となりますので、とても大きな税メリットがあります。
参考:特定医療法人とは(⑥)
⑥特定医療法人とは税法(租税特別措置法)に掲げる要件を満たした場合に、国税庁長官の認定を受けた医療法人をいいます。⑤社会医療法人と同様に、公益性が極めて高い医療法人です。
⑤社会医療法人と要件は異なるものの要件自体は厳格ですが、認定を受けることができると、法人税率が軽減されますので、こちらも大きな税メリットがあります。
⑥特定医療法人とは税法(租税特別措置法)に掲げる要件を満たした場合に、国税庁長官の認定を受けた医療法人をいいます。⑤社会医療法人と同様に、公益性が極めて高い医療法人です。
医療法人社団と医療法人財団の運営機関の違い
医療法人社団と医療法人財団の運営機関(ガバナンス)の違いについてです。
医療法人社団の運営機関
医療法人社団の場合には、社員・理事・監事を置くことが求められており、それぞれの関係は以下の図で表すことができます。

社員という名前が大変わかりづらく、株式会社の従業員に同じように考えられる方もいると思いますが、最高意思決定機関になりますので、医療法人社団でいう社員は株式会社の株主と同じようなものです。
社員と理事は兼務することが可能であり、一人医師医療法人の場合には兼務していることがよくあります。
医療法人社団は出資や基金によって設立されるため、一般的には「人(社員)の集まり」によって設立された医療法人ともいわれます。
医療法人財団の運営機関
医療法人財団の場合には、評議員・理事・監事を置くことが求められており、それぞれの関係は以下の図で表すことができます。

医療法人財団の場合、最高意思決定機関の名称が「社員」ではなく「評議員」に変わりますが役割は主に同じです。
ただし、評議員と理事を兼務することは認められません。(医療法人社団の場合には、社員と理事を兼務することが可能です。)
また、評議員の人数は理事の人数よりも多くしなければなりません。
医療法人財団は寄附によって設立されるため、一般的には「物(寄附された財産)の集まり」によって設立された医療法人ともいわれます。
設立時にどの医療法人にするのが良いのか
現在、設立できる医療法人は②から⑥の医療法人ですが、特殊性がある⑤⑥を除くと③基金拠出型医療法人を設立するのがオススメです。

3つのポイントに分けて解説いたします。
1.医療法人財団は評議員と理事を兼務できないため
「医療法人財団の運営機関」にて記載したように、理事(執行機関)は評議員(最高意思決定機関)から選任されなければ理事になることはできませんが、理事と評議員の兼務は認められません。
医療法人社団の場合には、理事(執行機関)と社員(最高意思決定機関)の兼務が認められているため、兼務している場合には、社員の立場として、自分自身を理事にするために選任することが可能です。
しかしながら、医療法人財団の場合には、理事(執行機関)と評議員(最高意思決定機関)の兼務が認められていないため、自分自身を選任することができませんので、評議員との関係性が悪化してしまうと理事に就任できない可能性が出てきてしまいます。
そうすると、④医療法人財団は選択肢から外れてしまいます。
2.拠出型医療法人は税金デメリットがあるため
②拠出型医療法人と③基金拠出型医療法人で設立時の税金を比較してみると、②拠出型医療法人のほうが税金デメリットがあります。
以下の図のように拠出側と医療法人側で整理することが可能です。

②基金拠出型医療法人と③基金拠出型医療法人で税金上異なるのは、医療法人側での税金です。②拠出型医療法人では金銭以外の財産を拠出してもらった場合には一定のパターンを除き、税金がかかるのに対し、③基金拠出型医療法人の場合には、税金がかかりません。
そうすると、医療法人側で税金がかからない③基金拠出型医療法人がオススメです。
3.拠出型医療法人は廃業時に何も返還されないため
②拠出型医療法人と③基金拠出型医療法人で医療法人廃業時の返還の有無について比較してみると、②拠出型医療法人のほうがデメリットがあります。
「医療法人の種類」でも記載いたしましたが、②拠出型医療法人は医療法人の解散時の残余財産について何も返還されないのに対して、③基金拠出型医療法人は解散時の残余財産について基金は返還をうけることが出来ます。
例えば、医療法人設立時に1,000万円を医療法人に拠出または基金拠出したとしても、廃業時には②基金拠出型医療法人では、1円も返還されないのです。
そうすると、廃業時に拠出した基金だけは返還される③基金拠出型医療法人がおすすめです。
ただし、②基金拠出型医療法人の場合、廃業時に何も返還されないというのは必ずしもデメリットばかりではございません。
拠出した方が亡くなった場合には、③基金拠出型医療法人では拠出した基金が相続財産となり相続税がかかりますが、②拠出型医療法人では相続財産に含まれることはありません。
ですので、相続のことをまだ考える必要が少ない若手開業医であれば②基金拠出医療法人を、相続のことを考える必要が大きいベテラン開業医であれば③拠出型医療法人を選択することをオススメします。
まとめ
医療法人社団と医療法人財団の違いについて理解できましたでしょうか。
医療専門の税理士としては、相続のことをまだ考える必要が少ない若手開業医であれば医療法人社団のうち基金拠出型医療法人を、相続のことを考える必要が大きいベテラン開業であれば医療法人社団のうち拠出型医療法人を選択することをオススメします。
医療法人設立前に決めなければいけないことですので、選択誤りが出てしまうと、大きな手戻りが発生してしまいます。
もし、医療法人を設立しようと考えている医師・歯科医師の方がいらっしゃいましたら、ぜひご相談ください。
この記事の監修者

税理士法人シーガル
代表社員/
税理士・公認会計士
中込 政博
あずさ監査法人・辻本郷税理士法人を経て、税理士法人シーガルを設立。税金に関する相談はもちろんのこと、公認会計士ですので、医業経営についてもぜひご相談ください!

税理士法人シーガル
代表社員/
税理士・行政書士
遠藤 大樹
医療特化会計事務所・税理士法人山田&パートナーズを経て、税理士法人シーガルを設立。医師・歯科医師に対する税務顧問の他、相続税申告や相続対策・医業承継もお任せください!
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