茅ヶ崎駅から徒歩4分の医療法人・個人開業医専門の税理士法人シーガルです。
これからクリニックや医院を開業しようと考えている先生と話していると、「自分がもらう給料はいくらにしたらいいんでしょうか?」という質問を本当によくいただきます。
結論から言いますと、個人でクリニックを開業した場合、先生ご自身に「給料」という形でお金を支払って、それをクリニックの経費にすることはできません。
今まで病院などに勤務されていて、毎月給料を受け取っていた先生からすると、「え、そうなの?」と驚かれるかもしれません。個人で事業を始めるということは、収入の考え方が少し変わってきます。
そこでこの記事では、「なんで個人開業医は自分に給料を出せないんだろう?」「自分の収入ってどういう形になるの?」といった、開業する上で絶対に知っておきたい大切なポイントを、医療専門の税理士が分かりやすく解説いたします。
この記事は次の方にオススメです。
・これから自分のクリニック・診療所を開業しようと考えている先生
医師の収入形態(勤務医=給与所得、開業医=事業所得)
医師の収入形態には大きく2つあります。
1つ目が勤務医の場合の『給与所得』
2つ目が開業医の場合の『事業所得』です。
勤務医の場合、雇用される法人と雇用契約を結び、法人からの指示に基づいて業務を行い、その対価として給料が支給されます。
一方、開業医の場合、事業(医業)はご自身で行う必要があり、患者さんの数を増やすための対策や、スタッフへの指示などもご自身の裁量で決定しなければなりません。
そのため、勤務医とは異なり、ご自身が患者さんを診察すればするほど収入を増やすことができますが、事業が赤字になった場合にはご自身で補填する必要があります。
個人開業医は自分に給料は出せない?事業所得と経費の考え方
冒頭でも述べましたが、個人開業医として開業した後、自分に「給料」という形で支払いをして、それを経費として計上することはできません。
なぜなら、個人開業医は勤務医とは異なり、収入が『事業所得』という形態になるからです。
事業所得とは1年間の診療収入から家賃、光熱費、医療機器の購入費用などの経費を差し引いて残った金額を指します。
この経費にはクリニックや診療所を運営するために必要な費用を指すため、スタッフに対する給料は経費になりますが、自分自身に対する給料は経費にならないのです。
自分自身に対する給料が経費にならないことをもう少し詳しく説明すると、個人開業医の場合、事業主と事業体が法律上同じものとされる根本的な考え方に基づいています。
そのため、法律上、事業主個人の財布と事業の財布は区別されず、自分自身への支払いは単なる資金の移動とみなされるのです。
事業所得の考え方として、事業主である先生自身が、事業そのものとみなされます。先生が行う医療行為や経営活動は、先生の事業活動そのものであり、先生自身が「従業員」として誰かに雇われているわけではありません。
個人開業医でも家族に給与を支払って経費にできる
事業所得では家族が一緒になって事業を営んでいるという考え方が根底にありますので、医業又は歯科医業を営む個人が、生計を一にする(生活費を1つの財布で賄っている)家族に対して支払った給与は原則として、経費になりません。
ただし、例外として税務署に対して「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出し、一定の要件を満たした場合に限り家族に対して支払った給与を経費にすることができます。
詳しくは別の記事にまとめておりますので、ご興味のある方はご参照ください。
開業医が家族に支払う給与を経費にするには【青色事業専従者給与】
医療法人化で自分(理事長)に給料を出せる
個人開業医の場合には自分に給料を出して経費にすることはできませんが、医療法人化をすれば理事長である自分に役員報酬を出して経費にすることができます。
ただし、自分の役員報酬を自由に決めることができるかというそういう訳ではありません。
医療法人が役員報酬を支払い、経費にするための注意点がいくつかあります。
毎月の支給額を同額にする(定期同額給与)
役員報酬は基本的に毎月同じ額でなければ経費にすることができません。
基本的に、金額を変更できるのは事業年度開始から3ヶ月以内に限られます。
賞与を支給するには事前に届出が必要(事前確定届出給与)
役員に対して賞与を支払う場合には、所定の期日までに「事前確定届出給与に関する届出書」を提出しなければ経費にすることができません。
支給額が役員報酬として相当な額であるか(不相当に高額か否か)
役員報酬として支給する金額については上限はないものの、経費として認められる額については「相当額」までと定められています。
つまり、不相当に高額な役員報酬については経費として認められないということです。
「相当額」については法人税法施行令第70条に記載がありますが、要約すると主に以下の4点を鑑みて算出します。
役員の職務の内容
その医療法人の収益(収入)
その医療法人での使用人(従業員)に対する給与の支給状況
その医療法人と同様の事業を営み、事業規模が類似する他の医療法人の役員報酬の状況
まとめ
個人開業医の場合、自分に給料を出すことができないということをご理解いただけましたでしょうか。ご家族に給料(専従者給与)を出す場合にも注意しなければならない点が沢山ありますので、ぜひ参考にしてください。
私たち税理士法人シーガルは開業医・医療法人専門の税理士法人ですので税務顧問業務のほか、医療法人設立、一般社団法人による診療所開設、医院経営に関するご相談なども対応可能です。




