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JOURNAL

2025.9.21

開業医専門の税理士が教える|融資の鍵を握る事業計画書完全ガイド

開業医の融資相談をする医師と税理士のイラスト

将来、自分の理想とするクリニックを開業したいとお考えの医師は多いことでしょう。

しかし、診療技術とは異なる経営者としての視点や、特に融資審査を通過するための事業計画書の作成に、多くの不安を抱えているのが現状です。事業計画書は、単なる形式的な書類ではなく、金融機関にあなたの開業計画の実現可能性を伝えるための最も重要なツールです。

本記事では、開業医・医療法人専門の税理士法人シーガルが、数多くの医師の開業をサポートしてきた経験から作成した事業計画書テンプレートの内容に沿って、金融機関が「この医師になら安心して融資できる」と納得する事業計画書の書き方を、8つのステップに分けて徹底的に解説します。

なお、本記事の解説のベースとなっている税理士法人シーガルが作成した事業計画書のテンプレート(Excelファイル)は、ホームページからお問い合わせいただいた方限定でプレゼントしております。

ぜひこの機会にご活用いただき、あなたの開業を成功に導くための確かな一歩となれば幸いです。
 

事業計画書はなぜ必要か?

これから開業する医師にとって、事業計画書は融資を受けるために作成が必須な書類です。しかし、その目的は単に融資審査を通過することだけではありません。事業計画書は、開業を成功に導くための重要な「道しるべ」にもなります。

開業医が事業計画書を作成する3つのメリット

開業医の事業計画書テンプレートのイメージ画像
  • 開業の成功率が向上する

    事業計画書を作成する過程で、漠然とした構想を具体的な数字に落とし込むことで、開業の課題やリスクが明確になります。これにより、より現実的で実現可能性の高い開業計画を立てることができ、成功率が向上します。

  • 開業後の経営の指針となる

    事業計画書は、開業後の経営の指針としても役立ちます。目標とする収益と実際の実績を比較することで、何がうまくいき、何がうまくいっていないのかを把握でき、次の打ち手を考えるための重要なデータとなります。

  • 銀行が納得する返済計画を提示できる

    融資の審査では、開業計画の成長性だけでなく、借入金を確実に返済できるかどうかが最も重視されます。客観的なデータに基づいた収支計画や返済計画を事業計画書に盛り込むことで、銀行の信頼を得て、円滑な融資の実行につながります。

金融機関が納得する事業計画書の8つの要素とは?

金融機関が納得する事業計画書の8つの要素をまとめた図

事業計画書は、開業への熱意を伝えるためのものではありません。金融機関が最も知りたいのは、あなたの計画に確実性があるかどうかです。

ここでは、金融機関が融資を判断する上で重視する8つの要素を解説します。税理士法人シーガルのテンプレート項目に沿って、具体的に見ていきましょう。

①コンセプト・理念:なぜ、このクリニックを開業するのか?

金融機関は、あなたのクリニックに明確な強みがあるかどうかを見ています。テンプレートの「③医院概要」にある「診療方針」や「ターゲット」がこれにあたります。

  • 診療方針
    他のクリニックと何が違うのか?(例:専門治療、最新機器、オンライン診療など)

  • ターゲット
    どのような患者さんを対象にするのか?(例:子育て世代、高齢者、働く女性など)

あなたの「想い」を、事業としての説得力に変えることが重要です。

②診療圏調査:計画の根拠を示す

事業計画書の信頼性を決めるのが診療圏調査です。これは、医薬卸やコンサルタントから入手した診療圏分析資料を基に、クリニックを開業するエリアにどれだけの需要が見込めるかを客観的なデータで示します。

この分析資料は、なぜこの場所で開業するのか、そしてどのように収益を上げていくのかという、事業の根拠を説明する上で非常に重要です。必ず事業計画書に添付してください。

これはテンプレートの「③医院概要」にある「医院住所」や「交通アクセス」、「地域人口」「競合クリニック」の項目と関連付けられます。

  • 地域人口:ターゲットとなる層の人口

  • 競合クリニック:近隣にあるクリニックの状況

  • 交通アクセス:駅からの距離や駐車場の台数

綿密に分析したデータで、患者さんを確保できる見込みを具体的に示しましょう。

③集患について:どうやって患者さんを集めるのか?

開業直後から安定した収益を上げるには、具体的な集患戦略が必要です。「良い医療を提供すれば患者さんは自然と集まる」という考えは通用しません。テンプレートの「集患について」の項目では、以下の3つの観点から詳細を記載します。

  • 開業前後の広報活動
    クリニックの認知度を高め、来院のきっかけを作るための具体的な活動を記入します。(内覧会、ウェブサイト、Googleビジネスプロフィール、チラシ、看板、SNSアカウント開設など)

  • クリニックの強みと差別化

    患者さんが「このクリニックを選びたい」と思う理由となる、他院にはない強みを明確にします。(専門医資格、最新医療機器、オンライン診療、Web予約システム、キッズスペースなど)

  • リピーターを増やすためのアプローチ
    一度来院した患者さんが継続して通いたくなるための工夫を記入します。(LINE公式アカウントでの情報配信、メールマガジン、予約システム、丁寧な接遇など)

これらの要素を論理的に説明することで、金融機関はあなたの計画の実現可能性を高く評価するでしょう。

④診療内容・診療体制:どんな医療を提供するのか?

提供する医療サービスと、それを支える人員体制を具体的に示します。

テンプレートの「③医院概要」の「診療科目・診療時間」の項目を埋めるとともに、「⑤人件費計画」のシートで人員体制を詳細に記載します。

  • 診療科目・診療時間
    内科、小児科などの診療科目や、曜日別の診療時間を明記します。

  • 人員計画
    医師、看護師、医療事務などの人数と役割を「⑤人件費計画」で具体的に示します。人件費は経営に大きな影響を与えるため、具体的に示すことが重要です。

⑤設備・内装:クリニックの「器」を見せる

導入する医療機器を具体的に記載します。これは初期投資額の根拠になります。

テンプレートの「④資金計画」にある「医療機器」と関連付けながら説明します。

  • 医療機器:
    高額な機器を導入する場合、機器のリストと金額を具体的に記載します。なぜその機器が必要なのかは、金融機関との面談でスムーズに答えられるよう準備しておきましょう

単に「最新機器を導入」と書くのではなく、その機器がなぜ必要なのかをいつでも説明できるようにしておきましょう。

⑥資金計画:いくら、何に使うのか?

事業計画書で最も重要なのが資金計画です。開業に必要な資金の全体像を明確に示します。

テンプレートの「④資金計画」のシートで、以下の点を明確にします。

  • 資金使途
    内装工事費、医療機器購入費、運転資金など

  • 資金調達先
    自己資金、親族からの借入金、金融機関からの融資希望額

資金計画に不明瞭な点があると、金融機関からの信頼は得られません。

特に運転資金の確保は、開業後の資金繰りを左右する重要事項です。運転資金の具体的な目安や計算方法については、別記事「開業医が知っておくべき運転資金の目安|融資額の決め方と計算方法」で詳しく解説しています。

⑦収支計画(シミュレーション):いつ、いくら儲かるのか?

事業計画書で最も厳しくチェックされるのが、この収支計画です。開業後の医業収入、医業費用、そして医業利益をシミュレーションします。

テンプレートの「⑥損益計算書+資金繰り表(1年目)」から「⑨損益計算書+資金繰り表(10年分)」のシートを用いて、具体的な数字を示します。

  • 医業収入
    1日の来院患者数、診療単価などから算出します。

  • 医業費用
    人件費、家賃、広告費、減価償却費などの項目を詳細に記載します。

楽観的な数字ではなく、根拠に基づいた現実的なシミュレーションを心がけましょう。特に金融機関は、収入は少なめに、費用は多めに見積もるといった、保守的な計画を高く評価します。万が一の事態にも対応できる堅実な計画性を示すことが、融資成功への鍵となります。

⑧返済計画:どうやって融資を返済するのか?

金融機関は、融資した資金がきちんと返済されるかどうかが最も気になります。返済計画を明確に示すことは不可欠です。

テンプレートの「⑪借入金返済予定」のシートで詳細を示すとともに、その根拠となる「⑥損益計算書+資金繰り表」のシートを活用します。

  • 返済期間と金利

  • 毎月の返済額

  • 返済の根拠
    収支計画で算出した医業利益に、現金支出がない減価償却費を足し戻し、返済の原資となる資金を明確にします。

ここで注意してほしいのは、税金が加味されていない資金繰り計画が非常に多いという点です。返済計画を立てる際は、税金を差し引いた後でも、返済に十分な資金が残ることを明確に示すことが重要です。

事業の収益性と返済能力がリンクしていることを示すことで、金融機関は安心して融資を実行できます。

融資成功の鍵を握る3つのポイント

ここまで、金融機関が評価する事業計画書の8つの要素を詳しく見てきました。しかし、これらを完璧に書いたからといって、必ず融資が通るわけではありません。

本当に重要なのは、その計画に「説得力」と「実現可能性」があるかどうかです。

ここでは、事業計画書の内容をさらに強くして、融資を成功させるための3つの大事なポイントを解説します。

この3つのポイントを理解することが、最適な融資先を選ぶ上でも非常に重要です。融資の種類や金融機関との付き合い方といった全体戦略については、別記事「医師が開業融資を成功させるための完全ガイド|最適な選び方と借り方」で詳しく解説しています。

①医師の「構想」と「客観的な数字」のバランス

事業計画書には、あなたの理想とするクリニックの「構想」と、それを裏付ける「客観的な数字」の両方が必要です。

  • 構想
    どんな医療を提供したいか、なぜこの場所で開業するのか、といったあなたの熱い思いや考えです。これがないと、ただの数字の羅列になってしまい、金融機関の担当者には響きません。

  • 客観的な数字
    診療圏調査や収支計画など、誰が見ても納得できるデータのことです。これがないと、あなたの構想は単なる思いつきだと思われてしまいます。

熱意と客観性のバランスを取り、融資担当者があなたの計画を信頼できると感じることが大切です。

②「税理士」や「コンサルタント」の力を借りる

開業医の先生が、本業の診療をしながら事業計画書を一人で完璧に作るのは、とても大変です。また、金融機関が求める専門的な財務情報や市場分析は、専門家でなければ正確に書くのは難しいのが現実です。

開業を専門とする税理士やコンサルタントは、たくさんの開業事例や融資実績に基づいたノウハウを持っています。

  • 現実的な数字の算出
    収支計画や返済計画など、金融機関が納得する根拠ある数字を作る手伝いをします。

  • 説得力のある書類作成
    テンプレートの書き方だけでなく、あなたの構想をより説得力のある文章にします。

  • 金融機関との交渉
    専門家の視点から、金融機関とのやり取りをスムーズに進めることができます。

専門家の力を借りることは、融資を成功させるための近道です。

③実現可能性の高い計画にする

金融機関が一番重視するのは、計画が「本当にできるのか」という点です。どんなに素晴らしい構想でも、現実離れした売上予測や費用計画では、融資は通りません。

  • 無理な売上目標は立てない
    開業当初から高すぎる売上を見込むのではなく、開業から数年間の成長を段階的に見せることが重要です。

  • もしもの事態を想定する
    広告費や人件費が予定より増えた場合など、リスクに備えていることを示すことで、計画の堅実さをアピールできます。

「これなら実現可能だ」と金融機関に納得してもらうことが、融資成功の最後の鍵となります。

まとめ:融資成功の鍵は「信頼」と「実現可能性」

事業計画書は、ただの書類ではありません。あなたのクリニックの未来を具体的に描き、金融機関からの「信頼」を勝ち取るための最も重要なツールです。そして、その信頼を得るには、あなたの熱意だけでなく、客観的なデータに基づいた「実現可能性」を示すことが不可欠です。

クリニックの開業を成功させるためには、事業計画書の作成が最初の重要なステップです。しかし、本業の診療と並行して、すべての要素を完璧に仕上げるのは簡単なことではありません。

税理士法人シーガルは、開業医・医療法人専門の税理士として、税務・会計のサポートだけでなく、金融機関が納得する事業計画書の作成や融資交渉のサポートも行っています。先生方の開業をトータルでサポートすることが私たちの使命です。

本記事の解説のベースとなっている事業計画書のテンプレート(Excelファイル)は、お問い合わせいただいた方限定でプレゼントしております。ぜひご活用いただき、あなたの開業を成功へと導く確かな一歩となれば幸いです。

この記事の監修者

中込 政博

税理士法人シーガル

代表社員/

税理士・公認会計士

中込 政博

あずさ監査法人・辻本郷税理士法人を経て、税理士法人シーガルを設立。税金に関する相談はもちろんのこと、公認会計士ですので、医業経営についてもぜひご相談ください!

遠藤 大樹

税理士法人シーガル

代表社員/

税理士・行政書士

遠藤 大樹

医療特化会計事務所・税理士法人山田&パートナーズを経て、税理士法人シーガルを設立。医師・歯科医師に対する税務顧問の他、相続税申告や相続対策・医業承継もお任せください!

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